腎臓の病気で「人工透析」を受ける人が、年々増加傾向にあります。 その原因は、糖尿病の合併症の1つ「腎症」です。 腎症は、血液中の糖が増加することで発症します。 腎症が発症するまでの期間は、個人差もあり、血糖と血圧の管理によっても違います。 糖尿病を発症してから5年ほどの人もいれば、20年かけて腎症になる人もいます。 <腎症が起こるまでのしくみ> まず、左右の腎臓には、「糸球体」という毛細血管が集まったものが、およそ100万個ずつあります。 糸球体の働きは、血液をろ過して老廃物を取り除くことです。 しかし、糖尿病により高血糖が長期間続くと、糸球体の血管が傷んでろ過する機能が低下してしまいます。 そして、腎症を引き起こすのです。 さらに、ろ過機能が低下して、塩分を排出しにくくなることで血圧も上昇します。 そのため、傷んでない糸球体にも負担がかかるようになり、腎症が進行していきます。...
腎症の経過は次の3つの段階に分けられ、それぞれの治療が行われます。 <早期腎症期> 自覚症状はなく、わずかな量ですが、尿の中に「アルブミン」というたんぱくが出てきます。 しかし、一般的な尿検査では発見できません。 症状がこの段階であれば、生活習慣を改善することで、血糖や血圧をコントロールする治療が行われます。 <顕性腎症期> 尿の中にたんぱくがでてきます。 症状が進行すると「脚のむくみ」などが現れてきます。 この段階まで症状が進行しているときは、生活習慣の改善以外に、血圧をコントロールするために降圧薬を使用します。 さらに、食事でたんぱく質の摂取を制限する必要があります。 <腎不全期> 著しく腎臓の働きが低下します。 もともとろ過されるはずの老廃物が体内にたまってしまいます。 すると、「尿毒症」を引き起こします。 尿毒症を起こすと、「貧血」「皮膚のかゆみ」などさまざまな症状が現れてきます。 命に関わる場合もあります。 この段階まで症状が進行してしまうと、腎症の進行を止めることは難しいです。 その後、「透析期」になり、人工透析をする必要がでてきます。 腎不全になると腎臓の働きを回復させることはほとんど困難ですが、その前の段階であれば、腎臓の働きを改善することができます。...
腎症の進行を予防するためには、血糖値や血圧をコントロールすることが大切です。 1.血糖値「HbA1C7%未満」を目標にします。 血糖値「HbA1C7%未満」の糖尿病の人の腎症発症率を1とした場合、7?9%未満の人は2.6で、9%以上の人が4.2になります。 血糖をきちんとコントロールしてHbA1C7%未満に保つことがとても重要です。 2.血圧130/80mmHgを目標にします。 収縮期血圧が130mmHg未満の糖尿病の人の腎症発症率を1とした場合、130?140mmHg未満の人は2.3で、140mmHg以上の人は、2.7になります。 収縮期血圧を130mmHg未満で保つことで、「尿たんぱくが減る」「腎症の進行が止まる」など効果が現われます。 尿たんぱくが1日1g以上出ている人は、血圧125/75mmHgを目標にして取り組んでください。 ただし、糖尿病の人は、血圧が上昇しやすいため、血圧のコントロールが難しいこともあります。...
血圧をコントロールするために、いくつかのポイントをまとめました。 1.1日合計30分間の全身運動行います。 体を動かすと、糖を消費しやすくなり脂肪も燃焼しやすくなるため、肥満解消につながり、血圧が下がります。 ただし、腎症以外に合併症がある可能性もあるので、事前に担当医師に相談をしてから運動を始めるようにしてください。 2.食塩とたんぱく質の摂取を控えます。 食塩をたくさん摂りすぎると血圧は、上昇します。 たんぱく質をたくさん摂りすぎると、腎臓に負担がかかります。 そのため、食塩とたんぱく質の摂取を控える必要があるのです。 3.降圧薬を使用します。 薬物療法で血圧をコントロールしていきます。 降圧薬の中でも腎症にも効果的なものは、「ACE阻害薬」「ARB」です。 4.禁煙とストレス解消をします。 喫煙すると血管が収縮するため血圧が上昇します。 また、ストレスも血圧を上げてしまう原因となります。 自分なりのストレス解消法を見つけましょう。...